旧モーニングスターの朝倉智也氏の「インフレ・円安からお金を守る 最強の投資」を読みました。
以前ETF7本で攻めてきた朝倉氏。今度は、投資信託「2本でどうだ!」とのことで、気になったところをレビューしてみます。
資産活用層の運用(安定運用と積極運用)
資産形成層(若い人)と資産活用層(年金世代)に分けていますが、給与が年金になっただけで、ポイントは同じです。
金融資産額にかかわらず、
・保有している金融資産の20%を預金
・80%を債券に一括投資➡安定運用
・預金+年金収入の中から0.5%相当額を株式ファンドに積み立てる➡積極運用
例)1000万円の金融資産
・預金口座:200万円(20%)は使うお金+年金
・証券口座:800万円(80%)は債券ファンドに一括投資
・預金口座から毎月5万円(総資産1000万×0.5%)を株式ファンドに積立
・預金口座の使うお金が不足しそうになったら、随時、債券ファンドを売却
→結局、年金額と支出次第か。これだと数年でリスク資産比率がかなり高くなるような、、、
債券は一括投資
eMAXIS Slim先進国債券は設定~2022年10月まで元本割れ無し。債券は値動きが小さいので積立投資のメリットは享受しにくいので一括でよい。
↓本ではこの期間のチャート
≪eMAXIS Slim先進国債券≫
↓ちょっと意地悪を言うと、もう少しemaxis(スリムじゃないほう)のチャートを使って延ばすと設定から3年間元本割れしていますがね・・・
≪2009年10月28日~2012年12月18日 eMAXIS先進国債券≫
まぁ、本にも「本書が出版される頃(2023年3月)には非常によいタイミング・・・」とありますので、景気サイクルも意識した提案と思います。
私は株式/債券/金の比率を決めたポートフォリオ運用をしていて、教科書通り比率がずれたらリバランス(値上がりしたアセットを売って安くなったアセットを買う)によって資産増加を加速させていく戦略ですが、現金の大部分をインフレに負けないようにあらかじめ先進国債券に移しておくというのは、なるほど面白い戦略と思いました。
私の債券戦略 ≪先進国債券➡AGG≫
私もeMAXIS Slim先進国債券を積み立ていましたが、今は「SBI・iシェアーズ・米国総合債券インデックス・ファンド
(愛称:サクっと米国総合債券)」に発売直後からスイッチしています。
隠れコストは決算までわかりませんが、
①おそらく信託報酬が安い
目論書 | 運用報告書 | 隠れコスト | |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim先進国債券 | 0.154 | 0.168 | (0.014) |
SBI・iシェアーズ・米国総合債券インデックス | 0.0938 | (予想)0.1078 | (予想)0.014 |
※差:0.0602 (eMAXIS Slimの隠れコストを当てはめて予想=てきとうです)
②同じようなチャート
AGG(ドル建て)と先進国債券円建て(2511)では値動きがだいぶ違って見えますが、これはほぼ為替の影響です。
青線:AGG、黄線:先進国債券
AGGの円建てチャートを知らべる方法がわかりませんので、2511(先進国債券のヘッジあり)を重ねます。
水色線2511(ヘッジ有り)
AGG(ドル建て)と2512(ヘッジ有り)のチャート傾向はほとんど同じですので、AGGの円建ても2511と同じようなチャート(黄線)になるはずです。
③社債も含む総合債券なので先進国債よりリターンを見込める
※「My INDEX」データよりNowhere Man(←あっ、これ私のブログ名ですwww)作成
(米国偏重になりますが)今なら朝倉氏、サクッとシリーズも勧めていたのではないかと、勝手に推測していますよ。
ネタばれですが、サブタイトルの「2本」とはオーソドックスな誰でも知ってる信託報酬の安い世界に分散する株式ファンドと、上記の債券ファンドです。
この他にも朝倉氏らしく、サテライトとしてアクティブファンドもたくさん紹介されています。
基本となっているのはシンプルな投資方法ですが、「これでいいんだよな」と再確認できる良書と思います。
もちろんiDeCoから新NISAまで網羅されています。